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Message

その人らしく生きていける
地域社会をつくっていきたい。

真柄福祉財団 理事長 真柄紀子

真柄福祉財団(以下、当財団)は、「重い障がいを持った人も地域社会の中でともに生き生きと生活できる社会の実現を」という基本理念のもと「真柄福祉財団の3つの支援」の中で具体的な支援の方針を定めています。その1つ目に「発達障がい児(者)への支援」 がありますが、20年後、30年後に生まれてくる子供たちの半数が、何かしらの障がいがあるのではないかと言われるほど発達障がい児の数が増えています。おそらく、子供たちが成長する中で、私たちが普通にできていることができなければ、生きづらさを感じてしまうこともあるでしょう。当財団では障がいがある子供たちが生きやすいように、もっと生活しやすくなるような支援を今後も継続していきたいと考えています。

2つ目の「障がい者の高齢化による重度化への支援」と3つ目の「親亡きあとへの支援」はつながっているものですが、近年では、重度の障がいがある子供と親にとっての8050問題が深刻化しています。障がい者が高齢になることで、より在宅での介護も大変になりますし、障がい者福祉に関わる施設の職員にも高齢者福祉への意識や技術が求められるようになりました。

高齢になって重度化し、その後、親が亡くなっても、障がいがある人が地域社会や施設の中で“その人らしく生きていけること”が理想ですが、そのためには障がい者への支援が途切れないようにする必要があります。当財団では、障がい者福祉関係者に向けたセミナーの開催や人材育成も支援の対象とし、「親亡きあとへの支援」を充実させるための視察や大学の研究費も予算に上げています。最近では、少しでも親御さんの不安を逓減したいという思いから保護者向けのセミナーも開催するようになりました。立場や状況によって異なるお困りごとやお悩みに対してきめ細かな支援を柔軟に行えることが私たちの大きな強みだと思っています。

― ふれあい、わかちあえる繫りを、もっと。

東京や横浜では、障がいがある人が普通に町を歩いている姿をよく見かけます。車椅子の人が普通にいらっしゃり、白杖を持っている人が普通に電車に乗っている。でも新潟では、車椅子や白杖を持った人はめったに見かけませんよね。点字ブロックの上に自転車が置いてあるのをみると、意識が低いなと思いながらよけるんです。車椅子にとって点字ブロックはガタガタして不便ですが、点字ブロックがないと白杖を持っている人は困ってしまいます。県内の皆様はまだ、そこまでの意識はないのかもしれませんが、うちにこもっている障がい者が地域社会で活躍できるようにするためにも、県民全体の意識の底上げが必要ですし、障がいがある人が町を歩いている姿は“普通のことである”と、もっと多くの方々に知っていただきたいです。

私たちは障がいに対する理解を深めていただくことを目的に「真柄ふれ愛コンサート」や「真柄ふれ愛アール・ブリュット展」を定期的に開催しています。「真柄ふれ愛コンサート」は当初、障がいがある人の演奏発表の場でもありました。ここで演奏してくださった方のなかには、今はもう独り立ちして、プロとして活躍している方もいます。新型コロナウイルスの影響で開催できなかった年もありましたが、これからも障がいがある人もない人も一体となって楽しめるコンサートを開催し、共生社会をともにつくっていくための支援を積極的に発信してまいります。

― より柔軟できめ細かな支援を、たえまなく。

当財団の「基本理念」と「真柄福祉財団の3つの支援」で示した方向性に沿って活動を続けた先にはきっと、小さな目標の達成はあるにしても、私たちの支援そのものに終わりはないと思っています。世の中が変われば当然、支援の形も変える必要があるでしょう。ただ、どんなに時代が変わっても「感謝をする気持ち」「素直な心」「謙虚な姿勢」を忘れてはいけないという創設者の真柄準一の言葉を胸に、障がいがある人がその人らしく生きていける地域社会づくりに貢献してまいります。

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